オサムシ(歩行虫、筬虫)は、コウチュウ目・オサムシ亜目・陸生オサムシ類(Geadephaga)・オサムシ科に属する甲虫のうち、比較的大型の種が多いオサムシ亜科(Carabinae)に属する昆虫の総称。主として地上を歩き回る肉食の甲虫で、美しい色のものも多い。地域ごとに種分化があり、昆虫採集の対象となることも多く、オサムシのみの愛好家なども存在する。
オサムシの和名の「オサ(筬)」とは、機織機(はたおりき)の部品で横糸を縦糸の列にトントンと押し込み、布として一体化させる筬からきている。古式の手織り織機の中には上糸と下糸に分けた縦糸の列の間をスッと滑らせるように横糸を通す紡錘形の杼(ひ)と一体化した筬があり、オサムシの名は、なで肩の紡錘形の体をこうした形式の紡錘形の筬になぞらえて、つけられたとされている。
なお、一部の例外を除いてオサムシは飛翔能力を欠いているが、中胸より後の背面を覆う前翅がなで肩なのは、飛翔筋を退化させて飛翔力を失った甲虫の多くに共通した形態であり、例外的に飛翔力を持つカタビロオサムシ類の名称は、オサムシとしては異例のいかり肩の形態をよく捉えている。
オサムシにまつわる有名なエピソードとして、漫画家の手塚治虫(本名:治)のペンネームは、幼少時から昆虫少年で昆虫採集愛好家でもあった彼が、愛するオサムシを織り込んだもので、本来は「てづかおさむし」と訓読することを本人は強く希望していたが、編集者や読者の感じる違和感が大きく、「氏」をつけたときに「おさむしし」となり「し」が重なって読みにくいので、「おさむ」と訓読することとした。なお、この時手塚治虫の飼っていたオサムシが「アオオサムシ」で、関東では一番メジャーな種類だが、関西では珍しい。
また、オサムシは成虫で越冬する。土の中で活動を停止し、活動的なでは春から夏にかけては単独行動しか取らないのに、冬眠は同種が集団で行う。その適地とは日当たりのいい斜面で、冬眠中のオサムシは強い麝香の匂いを発するらしく、オサムシ収集家は崖で鼻を利かせて集合住宅を探すのだという。ひとたび見つかると、一網打尽の状態で捕獲できる。
防衛のために昆虫本来の飛翔という性質を甲冑と共に封印し、更に甲冑の美しさは外敵の警戒の度により、オサムシが好むと好まざるに関わらず、自ずと磨かれてゆく。決して得難いほどすばしこい生物を獲物にするワケでもないのに、その歩行は飛翔のできないことを補うかのように敏捷である。たとえ生活が人間にとって衛生的ではなくとも、嫌な臭気を発する昆虫であっても、多面的な魅力を帯びた昆虫であることは確かで。昆虫愛好家の間では「歩く宝石」の異名がある。
最近では外国産の種類がプレデタービートルと呼ばれ出回っている。
本作品では、同種のマイマイカブリ同様に各関節、触覚、顎など稼動。アオオサムシの特徴であるメタリックグリーンの配色を、硫化で黒く染めた上に塗装で表現した。立ち姿勢にこだわり、ただ置いた時の姿勢が良く表現できたと思う。